RFIの回答比較では、各社の回答原文を残したうえで、現在対応できること、条件付きの対応、対応予定、未回答を分けます。空欄を「対応不可」にしたり、開発予定を「対応済み」にしたりすると、候補を絞る判断が変わってしまいます。
RFIは情報提供依頼のことです。この記事は、候補ベンダーから回答を受け取った企業担当者に向けて、回答の整理、根拠の確認、追加照会までを説明します。特定の公的調達の採点基準を示すものではありません。
回答原本と比較用の表を分ける
受け取った回答書や添付資料は、原本としてそのまま保存します。比較表には、質問番号、回答の要約、回答書の該当箇所、確認日を記録してください。要約だけを残すと、条件や例外を省いてしまった場合に元の説明へ戻れなくなります。
同じ「利用できます」という回答でも、標準機能、有償オプション、個別開発では前提が異なります。利用人数、対象プラン、追加費用、導入時期など、質問時にそろえた条件が回答にも適用されているかを確かめます。後から訂正回答が届いた場合も、旧回答を上書きせず、どの回答を現在の判断に使うか分かるように残しましょう。
未回答と対応予定を別の状態として記録する
次の区分は、回答を読み違えないための本稿の整理例です。RFI共通の必須様式ではありません。自社の依頼書に回答区分を指定している場合は、その区分を優先し、原文と分類理由を対応させます。
| 比較上の状態 | 読み取れた内容 | 残す確認事項 |
|---|---|---|
| 現行で対応 | 対象条件で現在提供できるとの回答 | 対象プランと根拠資料 |
| 条件付き対応 | 追加費用、別契約、設定などが必要 | 条件と費用、担当範囲 |
| 対応予定 | 今後の開発や提供を予定している | 提供時期、対象範囲、未確定部分 |
| 対応不可 | 対象条件では提供できないとの回答 | 代替方法の有無と制約 |
| 未回答 | 該当欄が空欄、または質問への回答がない | 回答依頼の要否 |
| 判断保留 | 回答はあるが条件や根拠が読み取れない | 判断に足りない情報 |
「対応予定」は、導入したい時点で使えることを確認できた状態とは分けます。「未回答」は、できないと回答した状態とは分けます。数値評価をする場合も、未確認を推測の点数で埋めず、自社の評価方針に沿って未確定項目として残してください。
公開されているRFIの例から条件の残し方を確認する
日本年金機構が公開する回答票には、受注の可否に加えて、条件付きの場合の理由や、準備期間などを記す欄があります。可否の印だけでなく、その条件も読む必要があることを確認できる一例です。日本年金機構の情報提供依頼回答票の案内と、そこから配布されている回答様式を参照しました。
また、財務省の2026年の資料提供依頼には、一部の内容だけの提出も受け付けること、将来の調達を約束するものではないことが記されています。これは当該案件の条件です。すべてのRFIへ一般化せず、自社が出した依頼書の目的と回答条件を確認しましょう。出典は財務省の国有財産総合情報管理システムに関する資料提供依頼です。これらは2026年10月27日に確認した公開例で、現在の応募を案内するものではありません。
架空の回答を分類する記入例
次のA社、B社と回答内容はすべて架空です。実在する製品の機能比較や、公的な評価結果ではありません。同じ質問への回答でも、確認すべき点を分ける例として見てください。
| 質問と回答例 | 記録する状態 | 追加照会 |
|---|---|---|
| Q-01にA社が「標準プランで利用可能」と回答 | 現行で対応 | 今回の利用人数でも同じ条件か |
| Q-01にB社が「別途オプション契約が必要」と回答 | 条件付き対応 | 追加費用と見積もりへの算入範囲 |
| Q-02にA社が「次期版で提供予定」と回答 | 対応予定 | 希望する導入時点の利用可否と、予定変更時の扱い |
| Q-02のB社回答欄が空欄 | 未回答 | 対応可否と判断の前提を回答できるか |
比較表には回答書のファイル名やページ番号も記します。回答の説明と添付資料が食い違う場合は、都合のよい方を採用せず、どちらが今回の条件に適用されるかを確認します。
追加照会は質問番号と不足情報を絞る
追加照会は、回答全体をもう一度求めるよりも、元の質問番号、確認した回答、足りない情報、回答を希望する期限をそろえて送ると整理しやすくなります。期限は自社の選定日程と相手の対応可否を踏まえて決めます。
架空の照会文の例です。「Q-02の次期版で提供予定という回答について、今回の対象プランと利用人数で、希望導入時点に利用できるかをご回答ください。未確定の場合は、確定している範囲と追加確認が必要な点を分けてお知らせください。」
複数社へ同じ条件を確認する場合は、社内で前提をそろえてから照会します。他社の非公開回答を別の候補企業へそのまま転送せず、自社が確認したい要件として質問し直しましょう。回答後は原本、比較表、未確認項目の一覧を一緒に更新します。
候補を絞る前に必須条件の未確認を整理する
必須条件と、満たすと望ましい条件を分けます。必須条件に未回答がある候補は、単に点数が低い候補ではなく、選定に必要な情報がそろっていない候補です。追加照会やデモで確かめる項目と、今回の回答だけで判断できる項目を分けてください。
予定機能が間に合わない場合の代替手段、条件付き対応に必要な社内作業、費用の前提も確認します。候補を残す・外す理由は、回答のどの記載と自社のどの条件に基づくかを説明できる形で残すと、後の提案依頼や社内説明へつなげやすくなります。
【RFI前の準備はこちら】RFIに必要な資料を集める前に整理すべき項目
サービス資料の取得と正式なRFI回答を区別する
サービス資料や機能一覧は、回答の根拠を確かめる補助資料になります。ただし、資料を入手したことを、ベンダーが自社の質問へ正式に回答したこととして扱ってはいけません。自社の要件への対応可否や個別の条件は、回答する権限のある窓口へ確認します。
資料ハンターズの資料取得代行を使う場合も、取得対象の資料名と掲載URLを明確にします。既存資料の取得と、正式なRFI回答の作成・提出・保証は別の作業として区別してください。
【まとめ】回答の状態と残る条件を説明できるようにする
RFIの回答比較では、回答原本を残し、現行での対応、条件付き対応、対応予定、未回答を区別します。比較表から質問番号と根拠へ戻れるようにし、判断に足りない項目だけを追加照会します。
大切なのは、すべての欄を埋めることではなく、確認できた内容と未確認の条件を混同しないことです。候補を絞る理由を説明できる状態にしてから、次の選定工程へ進めましょう。

